2023年の話題になったクラウドファンディングを振り返ってみよう!

 2023年、クラウドファンディングの世界で目を見張るプロジェクトがたくさんありました。莫大な資金を集めたものから、この手法にぴったり合ったユニークな取り組みまで、さまざまです。ここでは、その年を象徴するプロジェクトを選んで、業界のプロからクラウドファンディングに興味を持ち始めたばかりの方まで、誰もが楽しめる形で振り返ります。


2023年のクラウドファンディングまとめ

国立科学博物館 「地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」
国立科学博物館が行ったプロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/08/07~11/05 (91日間)
・目標金額:100,000,000
・調達金額:916,025,000
・支援者数:56584人
・プラットフォーム:READYFOR

国立科学博物館の膨大なコレクションの維持・保存のために実施されたプロジェクト。COVID-19のパンデミックや、設備や材料のコスト増加などに直面し、博物館は自然史と科学技術史の資料の収集・保存を続けるための資金支援を求めたとしています。調達された資金は、博物館の運営維持、他の科学博物館との連携強化、全国巡回展示の実施などに使用される予定とのこと。国内クラウドファンディング史上最高額の資金を調達したこのプロジェクトは、インターネット上で大きな話題となりました。


公益社団法人 日本将棋連盟 【新 将棋会館建設プロジェクト|第五期】

日本将棋連盟が行ったプロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/10/01~12/24 (85日間)
・目標金額:100,000,000
・調達金額:300,526,000
・支援者数:9844人・プラットフォーム:READYFOR

日本将棋連盟が新しい将棋会館の建設資金を募る目的で行われたプロジェクト。現在の将棋会館の老朽化と将棋イベントの需要増加を背景に、より適切で現代的な施設を求めてのことだそう。
新将棋会館の建設には総事業費48億円がかかり、現会館の売却で32億円、残りの16億円を企業や個人からの寄付で集める予定だったそう。しかし、資材高騰等の影響から、より多くの資金が必要になったといいます。そこで、クラウドファンディングを通じて資金を調達する運びとなったそうです。全6回、全体目標6億円のクラウドファンディングで、今回が第五期となっています。既に第四期までで約3.7億円を調達しているとのことで、今回のプロジェクトで全体目標の6億円を越える資金を調達したことになります。


映画『狂気山脈 ネイキッド・ピーク』本編制作プロジェクト

アニメ映画『狂気山脈 ネイキッド・ピーク』制作プロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/02/28~05/14 (76日間)
・目標金額:80,000,000
・調達金額:201,769,387
・支援者数:17299人
・プラットフォーム:CAMPFIRE

クトゥルフ神話と登山を融合させたTRPGシナリオ『狂気山脈 ~邪神の山嶺~』を原案に、アニメ映画の制作を目指すとしたもの。すでに一度クラウドファンディングを行い、2023年2月にはパイロット・フィルムが公開されています。その成功を受けて本編制作へと進むことになり、今回もクラウドファンディングを用いて制作資金を調達したとのことです。プロジェクトオーナーは個人で映画製作を企画しているとのことで、クラウドファンディングという資金調達方が、プロジェクトの性質とうまく嚙み合い、調達金額及び支援者数も突出したプロジェクトでした。


コトブキヤ 「究極のハンドモデル」制作プロジェクト

コトブキヤがおこなったハンドモデル制作プロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2022/12/02~02/26 (87日間)
・目標金額:3,000,000
・調達金額:148,400,020
・支援者数:13633人
・プラットフォーム:Makuake

このプロジェクトは、アニメーション制作やイラストレーション、立体物制作をサポートするための、高度に可動しリアルな造形が特徴のハンドモデルの開発だったそう。具体的には、アニメーター加々美高浩氏のデザインに基づき、手の理想的なプロポーションと可動を追求し、東京立川市のホビーメーカー「コトブキヤ」が製作を担当したといいます。購入型クラウドファンディングの形式で行われたこのプロジェクトでは、リターンとしてこのハンドモデルの先行販売が実施され、加えて、加々美氏のサイン入りイラスト色紙や参考書など、クリエイター応援の特別なリターンも提供されました。


『マジカミ』オフライン版PCゲームリリース&メインシナリオ完結プロジェクト

『マジカミ』オフライン版リリース&メインシナリオ完結プロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/09/28~11/26 (60日間)
・目標金額:55,000,000
・調達金額:143,828,442
・支援者数:5662人
・プラットフォーム:CAMPFIRE

『マジカミ』は、約4年4ヶ月間運用されたPC・スマートフォンゲームで、2023年10月31日にサービスを終了。その後、ファンに何かを残したいとの思いから、このクラウドファンディングが実施されたとのことです。プロジェクトの目的は、オフライン版PCゲームのリリースとメインシナリオの完結版をファンに届けることとしています。特に、ゲームのサービス終了後も、ゲームの世界を楽しむことができるように、オフライン版のリリースを予定しているとしました。終了する予定のゲームに、ゲーム外からの資金調達をおこなってファンに還元するというこのプロジェクトは、クラウドファンディングという仕組みに適したものでした。


ALS克服に向けた研究支援プロジェクト

ALS研究支援プロジェクトの終了後トップページ
画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/04/26~06/23 (59日間)
・目標金額:30,000,000
・調達金額:43,930,000
・支援者数:566人
・プラットフォーム:READYFOR

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療法開発と研究加速を目的として、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授と森本悟特任講師が中心となり、実施されたこのプロジェクト。寄付された資金は主に人件費や研究消耗品費など、ALS研究の継続に必要な費用として活用される予定です。


日本生まれのゾウ繁殖のための環境支援プロジェクト

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画像はクラウドファンディングページより

・募集期間:2023/04/18~07/12 (86日間)
・目標金額:30,000,000
・調達金額:21,016,000
・支援者数:1493人
・プラットフォーム:READYFOR

絶滅の危機に瀕しているアジアゾウの保護と繁殖を目的としたクラウドファンディングプロジェクト。ゾウが将来も日本で見られるように、特に国内で生まれたゾウ同士の繁殖を促進することに焦点を当てています。プロジェクトでは、繁殖に適した環境整備のための資金を募集したとのこと。